旭川のスカッシュレッスンスクール「旭川スカッシュハウス」
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2018/02/27
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サマルカンドにて 2
2
青の都と呼ばれている所以がわかりすぎるくらいの青と蒼が全方向から浮き上がっていた。
精巧に作られた青い屋根の巨大な石造りのモスクが3つ。
それがレギスタン広場だ。
威風堂々とたくさんの人を受け入れていた。
完璧なフラットに切り取られた巨石のベージュと空の光を反射させているかのような瑞々しい蒼と細かくも大胆な金の装飾がこんなにも美しく交われるものなのかと感動しきりだった。
まるで始めから終わりまですべてクライマックスで作られたちょっと有り得ない映画を終わることなく魅せられているかのような空間にいた。そんなオレの美的感覚はずっと上がり放しだった。
建物のスタイルは時代の違うものがあっても、その色彩やフォルムはすべてが一貫していて、時代の隔たりが一見しただけではわからないほどに門も廊下も中庭もまるで隙がなかった。
濃淡のある青と黄金をタイルに染み込ませたであろう壁画はどれも見たこともないバランスとその細やかさを朽ちることなく何百年と保ってきたのであろう歴史の厚みも素人ながらに感じられた。
そんな興奮冷めやらぬ気持ちでモスクの中に入ると歴史上の偉人たちの黒い石墓が棺として横たわっていた。
モスクの内部の壁や天井には曼荼羅やアラビア文字を思わせる文様絵画が一面にびっしりと広がっていた。
金の装飾が穏やかな気持ちにさせるのはどこかで感じたことのある懐かしさがあった。
ついさっきまできれいだ、きれいだと舞い上がっていた気分はこの豪華絢爛な霊廟に立つことによって祈りを捧げるような心もちに変わっていった。
死者の霊魂を鎮めるために、称えるために作られた、優れて芸術的な建造物を訪れたオレは現実に生きる人間にとっての死者についてを回想していた。
大学受験の際、極度の集中と共に鎌倉時代以降日本にも宗教が民衆に根付いていく背景を連想したときのイメージに似ていた。
今のように生きることがあたり前ではなく、自由などという概念もなく、死というものがとても近かった時代とそうではない現代の違いについてを机の上で想い描いていた。
輪廻転生、極楽浄土の思想の救いを信じて死をも恐れぬ人たちがいた。
異国の脅威から自国の自由と権利を守るために大切な多くを失いながら国家存亡に奔走した人たちがいた。
狂った国家による流血の時代に真実を報道しようと命を賭けた人々がいたという歴史的事実がオレには痛かった。
どうしてそんな生き方と死に方を選ぶことができるのかが自分には想像できなかった。2/7
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